成績には波がある

皆さん、こんにちは。

塾長の江田です。

定期試験や模試の成績が落ちてしまうと学習者本人も、親御さんも落ち込んでしまいますよね。

成績が落ちてしまったのは、努力が足りなかったせいでしょうか?

確かに、本当に勉強をサボってしまったという事はあるかもしれませんが、どうやら他の事も考える必要がありそうです。

科学的には成績の上下は当たり前の事

以前教え子さんから、彼が勤めているバイト先のお客さんが、「大阪なおみ選手は調子にのって天狗になっているから、その後成績が落ち込んだんだと管を巻いていたけど、それについてどう考えます?」と聞かれました。

こういう話はよくありますよね。
調子良い時期があったのに、そのあとパッとしない成績になっていくこと。

学校のテストでもそういうことってよくあると思いますが、どうでしょうか?

この問題については単純に調子に乗って怠けたという以外の理由を考慮したほうが良さそうです。

その理由とは、統計的な原理である平均への回帰現象です。

これは観測するデータが少ないうちはよくあることで、目立って悪い成績をとると次は平均的な成績に近づき、目立って良い成績をとると次は悪い成績に近づく可能性が高いわけです。と言われると当たり前の現象なのですが、私たちが観測するデータってそれが平均なのか、そうでないのかってわからないんですよね。

なので、目立って良い成績がその人の平均的な成績で、悪い成績をとった時は何か悪い成績をとった理由があるのではないか?と考えてしまうのですね。(思い込み)

家庭の教育方針にも大きく関わる

これは小中高生を子に持つ家庭にも関わってくる問題です。

一般家庭では、良い成績をとると褒めて、悪い成績をとると叱りますよね。
しかし、その褒め方叱り方が本当に意味があるか考え直した方が良さそうなんです。

というのも、目立って良い成績をとった時に褒めると、次は平均に近づく可能性が高いため、成績が下がったように見えます。
すると普通の親はあの時褒めたから成績が悪くなったんだと学習・認知してしまいます。

それで、褒める育て方はよくない!となって悪い時に叱るだけの親になってしまう可能性があります。

日本人てそういう人多いと感じるのは私だけでしょうか?

もしそんな教育をしているのならば、親子の関係性が壊れたり、子供のモチベーションにも関わるので考え直した方が良さそうです。

その代わりに良い成績、悪い成績の原因を面倒がらずにしっかり分析することが大切なんです。

例えば、良い成績をとった時に特に頑張った形跡がないのなら、手放しに褒めたりしない方が良いかもしれません。

心理学的に良い結果を生み出しやすい褒め方というのがあって、それは成績や頭の良さではなく、努力に対して褒めると良いというものです。

もし頭の良さや才能なんかを褒めすぎると、自分は努力しなくても出来る人間なんだと勘違いしてしまうというのが理由です。
たとえ才能豊かであっても、才能もあって努力をする子か、才能はあるけど努力はしない子、どちらが成功する確率が高いかは言うまでもありません。

正しい分析を心がけよう

このように、成績が下がったり上がったりするのは統計的に自然な現象なので、きちんと理由を分析しないとそれだけでは何も言えず、特に自分と関わりのない事情のわからないスポーツ選手の成績の落ち込みは、本人の努力とは無縁かもしれないので、断定的な判断は気をつけないといけないよ。というお話でした。

もちろん本人の努力不足である可能性が全くないと言っているわけではないので悪しからず。

一般的に因果関係というのは複雑なので(だからこそコントロールされた実験が大切なんです)、少ない情報で判断すると間違った判断を招きやすいということは絶対知っておいて損はありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。