なぜ日本人は「歴史に弱い」と言われるか

皆さん、こんにちは。

社会科担当の伊藤です。

突然ですが、皆さんは歴史はお好きですか?

「得意」、「偏差値が高い」ではありません。
「好き」かどうかです。

私がみた生徒さん全員に同じ質問をしたところ、暗記ばかりで面白く無い、教科書に書いてある事がどうしてそうなったのか分からない。といった意見が多く出ました。

世界からみて、日本人は歴史を知らない人が多いと評価されています。

歴史の授業シラバスを見れば、世界の中では標準かそれ以上の時間を学校教育で日本は費やしています。

しかし、歴史を知らない(興味がない)大人だらけになってしまう。

この原因は、世界の歴史教育の主流は文献や歴史的事実を元に「なぜそうなったのか」と理解を深める思考型に対し、日本における歴史授業の基本が受験対策用に組まれたもの、一問一答式の暗記型だからだと考えています。

暗記型で覚えた内容は、実生活で頻繁に使う機会に恵まれないと、忘却していきます。

例えば暗記型の分かりやすいものだと掛け算九九は、それができないと買い物や個数計算など、日常生活を行うことができませんから余程のことが無い限り全員できますが、とくに日常生活で読む機会がほぼ無い古文・漢文の読み方は殆どみんな忘れていますね。

しかし、古文・漢文の読み方は分からないけど、古文・漢文の話の内容(現代語訳)は覚えているよ。という方は意外にけっこういらっしゃいます。

これは、古文・漢文の「読み方」は確かに暗記型ですが、原文自体は形となっている物語なので、映画を観たり、小説を読むように物語の内容を思考して理解しているため、話の大筋を覚えている人が多いのです。

実は歴史も大きな視野で見れば、物語という意味では国語科目と同じなのです。

映画を観たり、小説を読むように歴史を読み解いてゆけば、必ずや今までと全く違った歴史理解の感覚を体感できるはずです。

年号や用語を暗記するにしても、歴史という名の一つの物語の大筋を理解しているのとそうでないのでは、学習効果には雲泥の差があります。

大学入学共通テストは「思考型」

2020年まで実施されていた大学入試センター試験に代わり、前年度から導入された大学入試共通テストですが、問題傾向が大幅に変わった事で話題になりました。

特に日本史・世界史は、従来の一問一答的な暗記型ではなく、大まかな歴史の流れ全体を理解してる前提で、歴史的事象を表した画像やグラフを読み取って、考えながら設問を解いていくという、思考型問題と言えるような試験内容でした。

事前に、「大学入試共通テストの歴史問題は、思考型の傾向が強くなる。」と噂はされていましたが、ここまでの思い切った路線変更は多くの先生方は予想していませんでした。

故に、従来の暗記型で学習してきた受験生は試験問題が理解できず、高得点を取ることができなかったといった事態となりました。

今後も大学入学共通テストは、思考型問題の出題を続けていくでしょうし、学校のカリキュラムもそれに合わせたものになっていくでしょう。

歴史を好きになってもらう試み

歴史の思考型問題で高得点を獲得するために必要な近道は、歴史を好きになる事です。

学習者に「歴史って面白い!」「その時代に生きた人々の活動に興味がある!」という気持ちにさせていくことが今後の歴史教育の主流になっていくものだと思います。

そういった試みは各学校も行っていくでしょうから、教科書に載っている範囲の事は他の先生方にお任せして、当コラムでは「教科書には載らない」歴史”裏話”を投稿し、このコラムをお読みいただいている皆さんに歴史について興味を持っていただこうと思います。

中にはディープなネタもあるかと思いますが、どうかお付き合い下さいませ!

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